Vol.1 無限大 = 1 + 1 その可能性を求めて   2011.08.29


強い雨が降り注ぐ中、リコーラグビー部のグランドに足を運んだ。
そう、拓殖大学ラグビー部の黄金時代を作ったと言っても過言でない、2人の人物を直撃するためだ。
その人物らの名は、日本が誇る快速トライゲッターズ・横山兄弟。
無限大の可能性を秘めている2人の今、学生時代、そして拓殖大学ラグビー部について、熱く語り合った。

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清水 本日はよろしくお願い致します。では始めさせていただきます。今の生活はどうですか?セブンスの日本代表にも選ばれてかなり充実したラグビーライフを送っていると思いますが、私生活も交えて教えていただけるとありがたいです(笑)。

横山健一 ラグビー選手ではありますが、会社員でもあるので15時まで仕事をしてそれ以降ラグビーという生活をしています。水曜日は1日ラグビーができますが、アクティブレストの時は一日仕事をしています。今日は輪番停電の影響もあって非番ですけど(笑)。

清水 プライベートも充実されているようで、伸一君は結婚されているんでしたっけ?健一君はそろそろ?

横山伸一 はい。僕はもう結婚をしていて、1歳になる子供がいます。

横山健一 僕は来年結婚予定です。そう考えるとラグビー選手は結婚が早いですね。清水さんもご結婚されて子供さんがいらっしゃいますしね。

清水 はい(笑)。お互い早いということで。さて話を戻して…


ラグビーはお前達が主役じゃない。ボールが主役だ。
お前達がこのボールをどれだけ面白くできるかが一番大切なんだ!

清水 今は仕事とラグビーを両立してやっていますが、ゆくゆくはプロ選手としてやってみたい、なんて気持ちはありますか?

横山健一 リコーの考え方は仕事とラグビーを両立すること。この精神はとても素晴らしいと思うし、今の自分達があるのもこのおかげだと思っています。しかし、プロ選手としてやりたい気持ちがあるのも事実ですね。1日ラグビー漬けという羨ましい環境がある反面、プロとしての責任という重圧があるにしても、憧れますしいつかはなってみたいと思っています。

清水 プロになりたいって強く思うきっかけみたいのって、何かあったりするんですか?

横山伸一 きっかけというか、ラグビーに対する心持ちが変わったのは確かにありましたね。日本代表としてセブンスの大会に出ているとき、試合前にサントリーの本城さんの言葉を聞いて感銘を受けたんです。

『ラグビーはお前達が主役じゃない。ボールが主役だ。お前達がこのボールをどれだけ面白くできるかが一番大切なんだ!』

この言葉で、今までのラグビー観が変わり、より真摯にラグビーを受け止めるようになったと思います。もちろんそれまでもラグビーは好きで好きで堪らないスポーツでしたけど、自分達だけ楽しければ良いというラグビーから、一つ殻を破れたと思っています。そういう意味でもっとラグビーに打ち込める環境って考えたらプロだなって思ったんです。

清水 なるほど。かっこいい!ちょっと身震いしましたよ。では、拓殖大学時代の話を、そもそも拓殖大学に入学したきっかけってなんだったのですか?

横山伸一 僕達の家庭はあまり裕福でなかったこともあり、最初は大学進学は考えていませんでした。でも、拓殖大学のコーチの方が高校のラグビー部の監督に声をかけてくださり、親の勧めもあって進学を決めました。そして運良く1年目からレギュラーとして出させていただいたこともあって、その後を追うように1年遅れで健一も拓殖大学に入学してラグビーを始めたんです。

清水 なるほど。セブンス代表にも選ばれるスピードスターの2人ですが、高校時代から足は速かったんですよね?

横山健一 いや、足はぜんぜん早くはなかったです(笑)。拓殖大学に入ってからですかね。100メートルを15秒走って45秒かけてスタート地点に戻るトレーニングをやっている内に、気がついたらお互い速くなっていました。遠藤監督からの物凄いプレッシャーと、フィットネスコーチ森下さんのおかげですね。

清水 なんと…凄い意外。そういった意味では拓殖大学のラグビー部で才能が開花したといっても過言でないですね。


自分達で考えて結論を出さなくてはいけない。
凄く良い経験になり自信もついた。結果を残せたから。

清水 2人が在学中の拓殖大学ラグビー部は本当に強かったですよね。法政大学に勝ったときとかのちょっとした裏話的なのはないんですか?話せる範囲でお願いしたいです。

横山伸一 ゲームプランは自分達で考えて実践していました。自分達のストロングポイントを活かしたオープンラグビーですかね。というのも、遠藤監督があまり多くを語らず、随所にヒントは与えてはくれるものの結論をくれないので、最終的に自分達で考えて結論を出さなくてはいけないと。それで考えた結果、ラインを広く使う為の戦略を自分達で考えてプレー中に実践しました。とても良い経験になりましたし自信もつきました、結果も残せましたから。遠藤監督には感謝ですね。

清水 あの試合は本当に凄かった。最後にトライを取ったのはどっちでしたっけ?

横山健一 伸一です。おいしいところは全部弟が持って行っちゃうんですよ(笑)。ラインを極限まで広く使う為に、ボールキープの強いプレイヤーをライン際で頑張らせる。そうすると広く作っている相手ディフェンスラインに隙間できてくるんで、そこに伸一が切れ込むんです。

横山伸一 これでしか勝てないと思い実践して、うまくいった試合でしたね。シーズン通してオープンラグビーを展開できたことは良かったと思っていますが、その分大学選手権のことまで頭が回らず序盤で負けてしまったのは本当に悔しかったです。

清水 なるほど。しっかりと考えられたシーズンだったのですね。ちょっと意外。大学選手権は残念でしたね。あの時はスッゴイ期待していたんですけど…


強いチームというのは自分達の伝統があり、チームのコアがあると思います。
伝統を伝承していっていることが、強いチームの強さの秘訣に思うのです。

清水 最近の拓殖大学の試合とか観られたりしていますか?

横山兄弟 この間試合を観に行ったのですが、やはり強いチームになるためには今ひとつ何かが足りていないように感じました。

清水 2人から見て拓殖大学を強くなるためにどのようなことをしたら良いのか、思うことがあったら教えてくれないでしょうか?

横山兄弟 強豪と言われるチームというのは自分達の伝統があり、チームのコアがあると思います。その伝統を伝承していっていることが、強いチームが強さを維持できている秘訣に思います。正直、自分たちが在学していた時も含めて、拓殖大学ラグビー部には、それが欠けているように思うんです。まずはそれを作ることが大事になるのではないかと思います。発展途上の段階は僕達の代で終わりなはず。これからは、そういうことを意識して活動をして行ってもらえると嬉しいです。ちなみに僕達が在学していた時はワイドラグビーと呼ばれていましたけど(笑)。

清水 確かに、そこを創って伝承していければいいですよね。今シーズンに期待しましょう!実はこの対談、拓殖大学ラグビー部のOB会への発信を目的に実施させていただいているのですが、OB会向けに何か言葉を頂けないでしょうか。最近は若いOBがあまりOBの集まりに参加してくれていないので、時間があったらぜひお2人も参加していただけないかなんて思ったりしています。

横山伸一 ぜひ、参加させていただきたいです!シーズンが終わったら拓殖大学のOB会に行きたいですね。OB会があっての拓殖大ラグビー部のOBですから!

横山健一 ぜひ参加させてください。そしてOB戦がしたいです。

清水 OB戦ぜひ実現させましょう!拓殖大学ラグビー部にも言葉を貰えますか?

横山兄弟 大学選手権で勝ってください!自分達の時はリーグ戦をどう勝つかしか考えておらず、大学選手権はすぐ終わってしまいました。でも今は大学選手権にも定期的に出られるようになり、大学選手権に勝つことを考えられるフェーズに入っていると思います。ぜひ先を見据えてシーズンを過ごしていただければと思います。

清水 では最後に、2人の今シーズンの目標を聞かせてください。

横山兄弟 2人でスタメンとして出られるようになり、かつその出場した試合に勝つこと。そして一人でも多くのラグビーファンを増やせればと思います。

清水 2人には無限大の可能性を感じます。1 + 1 = 2なんかじゃなく無限大なんだと!これからのご活躍を期待しております。本日は貴重なお時間を頂き本当にありがとうございました!


※本記事の掲載にあたってはリコーブラックラムズ・広報部の許諾を得ています。(オリバーズ広報)